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【下肢静脈瘤の歴史】

こんにちは。院長の橋本です。

今日は下肢静脈瘤の歴史についてお話します。

静脈瘤の記述が初めて記録上に現れたのは古代エジプトの紀元前1550年頃に書かれたエーベルス・パピルスです。

静脈瘤は英語でvaricoseといいますが、これはギリシャ語の“ブドウのような”からきているそうです。ヒポクラテスが紀元前460年に記述しています。

【下肢静脈瘤の歴史】

Bergan JJ,Yao JST:Venous Disorders,Philadelphia,1991,W.B.Saunders.より引用

上の写真をご覧ください。古代ギリシャの石像なのですが、男性が抱えた脚に静脈瘤が掘られています。

中国では紀元前5世紀の医学書に下腿潰瘍は圧迫治療で良くなるとの記録があります。これは現在の下肢静脈瘤による下腿潰瘍の弾性ストッキングによる治療と変わりません。

紀元前3世紀のインドではスシュルタ・サミーナという医学書の中の潰瘍の治療に、薬草の葉によるドレッシングと中国綿による圧迫を勧めています。

そして紀元前25年から西暦50年頃、古代ローマの学者セルサスが彼の著書 “De medicina”において下肢静脈瘤の治療に関して記述しています。これには静脈がまっすぐな場合、または横行していても単純な場合は熱した鉄器で焼灼し、曲がっていたり、輪のようにもつれている場合は切除するという方法で、2000年前に現在の熱凝固による血管内治療と瘤切除による治療と同じ原理で治療が行われていたことがわかります。

【下肢静脈瘤の歴史】

De medicina

その後の医学は中世の暗黒時代が続き、1000年以上にわたりほとんど進化を遂げていませんでした。

15世紀のルネッサンスにさしかかり、医学の進歩は再開します。

レオナルド・ダ・ヴィンチが静脈の解剖図を正確に描いています。

17世紀に入り、英国の医師ウイリアム・ハーベーは血液が体を循環していることや静脈弁の逆流防止機能を明らかにしました。

1854年にイタリアのガエターノ・コンツィが大伏在静脈の電気凝固術を発表し、1864年にフランス人のプラバが硬化療法を行っています。

1989年にイタリアのパグリッシィがレーザーによる血管内焼灼術を報告し、その後、レーザー及び高周波による血管内焼灼術が急激に目覚ましく進歩しました。

1890年代にドイツのトレンデンブルグが鼠径部で大伏在静脈の根部を結紮したことにより静脈結紮術が始まりました。

1920年代にはストリッピング術が行われるようになってきました。

次に現れて来たのがシアノアクリレートという医療用接着剤による血管内塞栓術です。シアノアクリレート自体は1950年代から世界中で脳血管や食道静脈瘤などの治療に使用されてきております。

下肢静脈瘤に最適な粘度、重合速度等が研究され2011年にVenaSealが発売され、我が国では2019年12月に保険収載されました。

そして現在はレーザー及び高周波による血管内焼灼術、医療用接着剤による血管内塞栓術、硬化療法といった様々な治療法の選択肢も広がり、こうした長い歴史を経て、現在では、下肢静脈瘤の治療は患者さんにとって低侵襲でかつ比較的安全に行われるようになったのです。

院長 橋本千尋

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この記事を書いた人

院長 橋本 千尋

さいたま静脈瘤クリニック
院長 橋本 千尋

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認定内科医
循環器内科専門医
下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術の実施基準による実施医

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