こんにちは、さいたま静脈瘤クリニック医師の神作です。
COVID-19 の流行で、在宅勤務をされている方も多いことと思います。
通勤時間が無くなったために、運動不足になっていないでしょうか。
座ったままの方の脚ではなにが起きているのでしょうか。
ずっと座っていると、むくみだけでなく、血流自体が停滞する
東京医科大学から先日出た論文では、ふくらはぎと足首の周径の増加,脚の浮腫(水分量)の増加、足の動脈血流の低下、足の動脈壁にかかる力の低下、ふくらはぎの酸素化レベルの低下を認めることが示されました (1)。
この研究では、片足に比較的弱い圧力(足首 15, ふくらはぎ 20, 太もも 15 [hPa])の弾性ストッキングを履いてもらい、反対側の脚と比較したところ、上に書いたような血流の増悪は軽度で済んだそうです。
これは結構弱い圧力です (2)。
また、圧迫療法では足首が一番圧力が高く、上に行くにしたがって弱くなるのが一般的で、この研究で用いているような逆圧はめずらしいので、興味を持ちました。今後、圧力の異なる靴下で比較して欲しいところです。
弾性ストッキングはお役立ちアイテム
弾性ストッキングは地味ですが、症状の改善だけでなく、病気の予防にも役に立つ、便利なアイテムです。
在宅勤務で脚がむくんでしまう方は試してみてはいかがでしょうか。
市販のものでも、ある程度の効果は得られますが、信頼性を求めるなら医療用の弾性ストッキングがお勧めです。
ただ、履くことが難しいために、せっかく買っても数回履いてやめてしまう方が多いのも事実。
私たちのクリニックでは、弾性ストッキング・コンダクターの資格を持った医師または看護師が履き方を指導します。
更に、様々なストッキングの中から、患者様の手の力や病気の状態を考慮し、その方に一番合った弾性ストッキングを一緒に考えていきます。
お問い合わせ方法
むくみだけで受診していいのか悩んだ、と言われる方も多いですが、お気軽にお電話ください。
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詳しく知りたい方のための補足
1)健康な男性に、飛行機のエコノミークラスを模したいすに8時間ずっと座ってもらって、変化を測った研究です。動脈血流やずり応力の低下は、血管内皮機能をも低下させるという先行研究を引用しています。血管内皮機能の低下は、血栓形成を招きます。(Med Sci Sports Exerc 2022 1;54(3):399-407)
2) 医療用の弾性ストッキングは、静脈瘤のある方には 30-39 mmHg (40-52 hPa)の中圧、静脈瘤のない方には 20-29 mmHg (27-39 hPa) の弱圧を使用することが多いです。患者さんの状態に合わせて、20 mmHg 未満の軽度圧迫圧や、40 mmHg 以上の強圧を使うこともあります。(新弾性ストッキング・コンダクター, 2019)