はじめに
みなさんこんにちは。
当院で下肢静脈瘤の手術をされた患者様の中で、掲載を許可していただいた方々の写真がまとまってきましたので、その一部をご紹介させていただきます。
手術によって見た目がよくなる方、あまり変わらない方がいらっしゃいます。いろいろな経過がありますので、ぜひ参考にしてみてください。
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・伏在型静脈瘤に対する手術の写真です。伏在型静脈瘤とは静脈の血液が逆流し、瘤を作るタイプの下肢静脈瘤です。しかし、必ずしも瘤を作るとは限らない病気です。今回はわかりやすく瘤が大きかった方をご紹介していますが、実際には瘤がなくても手術をされる方もいます。
・下肢静脈瘤の手術は逆流を治す手術です。瘤を直接治療しているわけではなく逆流が治ることにより瘤への負担が減って瘤が小さくなっていきます。瘤の減り方には個人差があります。
・焼灼術(血管を焼く手術)と接着剤手術(医療用の接着剤で塞ぐ手術)の両方をご紹介しています。今回はわかりやすい写真が撮れた方をご紹介するので、人数に差があるかもしれませんが、どちらの手術でも治療成績に差はないと言われています。
・術後は2~3か月経過後の写真です。
症例
1人目 接着剤手術
膝回りの瘤がほぼ見えなくなるくらい良くなりました。

2人目 接着剤手術
少し瘤が小さくなりましたが、まだ残っている状態です。
術後数か月様子をみて、大きい瘤が残っている場合は硬化療法という瘤に対しての治療を追加する場合もあります。

3人目 接着剤手術
よく見ると少し残っていますが、ほとんど瘤は小さくなりました。

4人目 接着剤手術
この方もだいたいの瘤はよくなりました。ご本人様のもう少し見た目をよくしたいという希望もあり、この後硬化療法も実施しています。

5人目 焼灼術
大きい瘤はほとんど良くなりました。

6人目 接着剤手術
瘤はほとんどなくなりました。そして、明らかに浮腫んでいたのも良くなって足がすっきりしています。

7人目 接着剤手術
瘤は良くなりましたが、接着剤を入れた血管に沿って色素沈着(シミ)が出現しています。この色素沈着は、血管が浅い位置にあったりすると起きやすく、なかなか防ぐのは難しい合併症です。しかし、半年~1年程度で自然に薄くなっていきます。

8人目 焼灼術
少し残っていますが、ほとんど良くなりました。

9人目 焼灼術
瘤はとてもきれいに治りました。太ももの血管は浅い位置にあったので、色素沈着が出てしまっています。
膝から下の色素沈着は、手術前からあったうっ滞性皮膚炎になります。術後の色素沈着は時間の経過と共に治っていきますが、うっ滞性の皮膚炎は難治性で、治療をしても変わらないことが多いです。ですので、うっ滞性皮膚炎ができたらすぐ、もしくはできる前に治療をすることをお勧めしています。(症状により。無理に手術を進めることはしません。)


おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回紹介した症例は一部となりますが、手術をご検討されている患者様の参考になれば幸いです。
前述のとおり、今回の症例はわかりやすい写真が撮れた方になりますので、瘤がなくても静脈瘤が隠れている場合もあります。
足の症状でお困りのことがあれば、一度診察にいらしてみてください。